成長戦略
経営の基本方針
私たちは、「日本発のイノベーションを世界へ向けて発信する」という目標を掲げ、全社員が一丸となり、顧客企業のビジネスの成功に貢献する「高付加価値サービスの創造」を追求しています。ビジネスに深く精通したテクノロジーパートナーとして顧客企業に貢献し、持続的な成長と高い収益性の実現を常に目指していくことが、私たちの経営における基本方針です。
現在は、シンプレクス・ホールディングスを上場会社として、1997年創業のテックファームであるシンプレクスと、2021年創設のコンサルティングファームであるクロスピアが、グループ中核企業として顧客企業のDX支援に取り組んでいます。事業会社であるシンプレクスとクロスピアが事業戦略を遂行すると同時に、シンプレクス・ホールディングスが持株会社としての機能の集中と強化を図り、戦略の策定と推進、適切なガバナンスやモニタリングの実行により、さらなる企業価値の向上を図ることを目指しています。

長期成長戦略「Vision1000」
DXの潮流のなか、私たちが一定の社会的インパクトを持つために、まずは売上収益1,000億円を目指すことが重要であると考えています。こうした考えのもと、今後予想される事業環境や顧客ニーズの変化に適切に対応し、持続的な企業価値向上を図っていくための長期成長戦略として、シンプレクスグループの目指す姿を定めた「Vision1000」を2023年10月に策定しました。
シンプレクスグループの目指す姿
Vision1000で目指す姿は3つあります。まず1つ目は、顧客企業にとって唯一無二の戦略的パートナーになることです。日本における口座数・シェア業界トップのオンライン総合証券であるSBI証券が、私たちを唯一無二の戦略的パートナーとして認めてくれたように、各業界をリードする企業からも同様に指名される存在を目指します。
2つ目は、社員にとってシンプレクスグループがBiz×Techの圧倒的イノベーターであり続けることです。DX分野のイノベーションは、時代の最先端を行くものです。今、その挑戦のエキサイティングな魅力が多くの優秀な人材を惹きつけています。シンプレクスグループは、これからも優秀な人材を魅了し続けるたに、Biz×Techの圧倒的イノベーターであることを志向し続けます。
3つ目は、社会にとってDX時代のゲームチェンジャーになることです。DXに課題を抱える日本企業が増えるなか、システムの内製化は唯一の正解ではないという見解のもと、私たちがゲームチェンジャーとなって社会にインパクトを与えられる存在を目指します。
数値イメージ
Vision1000では、2030年代初頭を想定達成時期とし、売上収益1,000億円、営業利益率30%、ROE20%という数値イメージを掲げています。この水準に到達できれば、営業利益額という規模のうえで、いよいよIT業界のトップティアの背中が見えてきます。

6つのマテリアリティの推進
私たちは、経営理念、行動規範、価値観、長期成長戦略等に照らして、6つの重要課題(マテリアリティ)を特定しています。このマテリアリティに基づき、戦略を立案・実行・推進するとともに、事業環境の変化や社会の変容に則して、随時マテリアリティの見直しを行っています。

中期経営計画「中計2027」
私たちは、2025年3月期からの3か年を期間とする中期経営計画「中計2027」を2023年10月に発表しました。中計2027は、長期成長戦略「Vision1000」の中間地点として、足元及び中長期的に取り組む実行戦略であり、最終年度に掲げた数値目標にコミットする決意を表したものです。
テーマ
中計2027においても、中計2024の基本戦略を踏まえたうえで、クロスピアとシンプレクスによる一層のグループシナジーの発揮により、「領域拡大」と「領域深耕」を推進していきます。まず、領域拡大の文脈においては、クロスピアを新たな領域を開拓する先駆者として位置づけ、戦略コンサルティングをマーケティングング・フックとすることで、顧客マネジメントにアプローチしていきます。また、シンプレクスグループのレピュテーションを高めることで、私たちを戦略的パートナーとして認めてくれる顧客企業の拡大を図ります。次に、領域深耕の文脈においては、単なる業務委託・受託関係を超え、双方のリソースとノウハウを結集してシステム開発案件やその体制構築を推進しているSBIホールディングスやSBI証券のように、私たちを唯一無二の戦略的パートナーと認めていただいた顧客企業に対して、期待を超える圧倒的な成果で応えていくことをテーマとして掲げています。
数値目標
中計2027の数値目標としては、直前期となる2024年3月期と最終年度となる2027年3月期の比較において、売上収益を407億円から600億円(年平均成長率+13.8%)、営業利益を88億円から150億円(年平均成長率+19.3%)へと拡大させる計画です。
また、売上総利益率は、戦略/DXコンサルティングの売上構成比の向上に伴うミックス効果や生産性の向上等により、2.1ポイント増となる45.0%。営業利益率は、売上総利益率の向上に加え、販管費率の低減等により、3.3ポイント増となる25.0%。ROEについても3.1ポイント増となる17.0%を目指します。
キャピタルアロケーション基本方針
事業基盤の強化につながる成長投資においては、人材への投資を最も重視しています。シンプレクスグループでは、人的資本を価値創造における最も重要な経営資源として位置づけ、人材市場トップ10%の優秀な人材の採用と育成に努めています。中計2027においても、引き続き新卒採用と中途採用を積極的に行っていくとともに、多彩なキャリア選択と社員の成長を促進する仕組みや企業風土の醸成に努めていきます。
また、Vision1000の具現化・実現に向けては、新規領域や成長領域への投資も重要となります。まず、研究開発においては、各期の売上収益に対する研究開発費の割合を概ね4%程度と設定しています。中計2027以降のさらなる飛躍を視野に入れ、成長領域におけるライブラリ拡充に向けた研究開発を積極的に行っていく方針です。
M&Aについては、比較的小規模ながら高度な専門知識やサービスを提供するブティックコンサルファームや、高利益水準を誇るテックファーム等、シンプレクスグループのコアコンピタンス強化に直接寄与する会社であれば、全株式取得を前提とした買収・合併を目指していきます。特に、前者のブティックコンサルファームの買収については、2027年3月期のインオーガニック成長分の売上収益として、35億円程度を織り込んでおり、より積極的に進めていく方針です。一方、私たちのコアコンピタンス強化に間接寄与する分野においては、マイナー出資を行っています。
こうした投資方針に則ったうえで、魅力的な投資機会が生じた場合は、まずフリーキャッシュフローを追加的な投資に充当します。そのうえで、資金調達が必要となる場合には、第一にデット・ファイナンスによる調達を優先。調達目安としては、ネットレバレッジ・レシオ 3倍程度を目安としています。
ROE目標と株主還元
2013年にMBOを実施した経緯から、当社は一般的な企業に比べ、事業規模に対して資本が相対的に大きく、資本コストが捉えにくい状況にあります。こうした状況も踏まえ、私たちは重要な経営指標の1つとしてROE目標を提示することを基本方針としています。M&A等のインオーガニックな成長がない前提において、絶対的な目標水準として、中計2027の最終年度までにROE17%、長期目標としてはグローバルで一定評価される水準であるROE20%の達成を目指していきます。
資本効率を意識した経営に取り組む私たちにとって、資本効率の向上に寄与する株主還元についても、キャピタルアロケーションにおける重要施策として認識しています。具体的には、業績動向やROE水準、成長投資の機会等を総合的に勘案したうえで、配当を基本として株主還元の充実に努めていきます。配当については、利益成長を通じた1株当たり配当金の安定的かつ持続的な増加を基本方針とし、2024年3月には、配当性向の目安を従来の30%から40%に引き上げる方針変更を行いました。また、自己株式の取得についても、資本効率の向上に寄与する株主還元策として、前述の配当決定に係る検討事項に加え、株価を含めた市場環境を考慮したうえで、機動的に実施していく方針です。
