株主・投資家の皆様へ

シンプレクス・ホールディングス株式会社
代表取締役社長

金子 英樹

最高のチームで付加価値を創造し
イノベーションを創出する

シンプレクスグループの挑戦の歴史

シンプレクスグループの原点

シンプレクスグループは、テックファームであるシンプレクスとコンサルファームであるクロスピアを両輪として、顧客企業のDXを一気通貫で支援しています。中心となるコンピタンスは、テクノロジー、コンサルティング、そして金融の3つです。私はこれらのスキルをサラリーマン時代に学びました。大学を卒業して入社したのは、アーサー・アンダーセン(現アクセンチュア)でした。その後、トレーディングツールを開発するシリコンバレーのスタートアップに参画し、金融の面白さに目覚めました。そして、当時世界最強の投資銀行と称されたソロモン・ブラザーズ・アジア証券(現シティグループ証券)に転職を果たします。この3社での経験が、シンプレクスグループの核となっていることは間違いありません。

これらの外資系企業で働いて感じたのは、日本チームのポテンシャルの高さです。米国本社勤務も経験するなかで、日本のチームであっても、ニューヨークやロンドン、シリコンバレーで活躍する金融やITのプロフェッショナル達と十分に競争できるという自信を深めました。しかし、グローバルな評価では、国としての日本は金融もITも二流であると揶揄されていました。その原因を突き詰めると、最終的には日本特有の企業経営や業界構造に行き着きます。それならば、自ら起業して企業経営を行うことで、日本の金融業界やIT業界にインパクトを与えられる最高のチームを作ろうと決意しました。そして最終的には、日本から世界にイノベーションを発信したい。このような決意と信念のもとで1997年9月に起業したのがシンプレクスです。

第一創業期と上場

1997年の起業以降、業界の常識を覆すビジネスモデルによって、他のIT企業とは異なる尖った戦略で成長を重ねることができました。順調な成長の背景には、金融工学を理解したうえでトレーディングシステムを提案し構築できる企業が、日本国内にほとんど存在しなかったことが挙げられます。シンプレクスはニッチな分野でトップを取ることができ、セールス部隊を組織することなく、大手金融機関のほとんどを顧客として獲得しました。セールス部隊を必要としなかった代わりに、プロジェクトマネジャーがユーザーと直接対峙し、彼らに刺さるソリューションを提供しました。このような事業活動の結果、2002年2月にJASDAQ市場、2005年9月に東証一部に上場を果たすなど、力強い成長を遂げました。

業績停滞とMBO

しかし、2010年3月期を境に成長の踊り場を迎えることとなりました。この原因としては、大手金融機関向けのニッチな分野でのシステム構築が一巡したことがありましたが、より本質的には、当時、シンプレクスが手掛ける案件は、他社にはできないニッチな分野の難しい案件というブランディングが強く浸透してしまったことで、活動範囲が限定的となっていたことが挙げられます。このような状況に直面するなかで、私は、大手金融機関に私たちのケイパビリティを幅広く認知いただく活動に注力する必要を痛感しました。また、事業環境としては、2008年のリーマンショックに端を発するリスク管理強化の流れを受けて、大手金融機関に向けてトレーディングやリスク管理を統合的に行えるワンプラットフォームを提供する必要性を感じていました。

そこで、現場の精鋭たちをプロジェクトから離脱させてセールス部隊を立ち上げ、プロアクティブなコンサルティングセールスを展開しました。ニッチな分野だけではなく、プラットフォーム全体にアプローチする戦略への大転換です。そのために、大手金融機関のキャピタルマーケット部門をターゲットに、今後5年間のITロードマップ作成を無料で支援することからはじめました。そのITロードマップをもとに、数年後に稼働するプラットフォーム全体の構築を請け負う算段です。現場の精鋭たちをプロジェクトから離脱させることから、当然、この間の業績停滞リスクを伴う施策でした。当時は、東日本大震災等の影響もあり、日経平均株価も1万円を割る最安値水準。シンプレクスの株価も下落基調でした。株価水準を鑑み、業績停滞による株価の低下リスクを株主に負わせることはできないと判断し、2013年10月にMBOに至ります。

第二創業期と再上場

MBOの際に掲げたテーマが、既存事業のブレイクスルーと新規事業の立ち上げでした。結果として、MBO直後よりリスク管理強化のトレンド等の追い風の影響もあり、既存事業のブレイクスルーを果たすと共に、いくつかの新規事業についても軌道に乗せることができました。シンプレクスのビジネスモデルの再現性の高さが新規事業でも証明されたという確信を持って、再上場を叶えたのが2021年9月。コロナ禍で開催を見送ってきた念願の株主懇親会を、2024年6月の定時株主総会後に開催できたのですが、11年越しとなったにも関わらず、当時の株主の方もいらしており、非常に感激しました。

シンプレクスが実現するイノベーション

シンプレクスは、「これまで世の中に存在しなかったイノベーションを創出し、日本から世界に向けて発信したい」という強い信念をもって起業した会社です。ただし、ここで示すイノベーションとは、スティーブ・ジョブズがスマートフォンによって世界を一変させたようなイノベーションとは異質のものです。スティーブ・ジョブズのようなビジョナリーな経営者が実現するイノベーションには、一般人には想像がつかない未来を見通す力が不可欠です。これに対して、シンプレクスグループが実現するイノベーションとは、誰もが思い描く理想や最適解はあるけれど、困難や障壁が多すぎて実現できていない課題を、他社に先駆けて泥臭く解決していくことで実現されるものです。

行動規範としての5DNA

そんなイノベーションを実現するために、我々の行動規範として2010年に明文化したのが「5DNA」です。なかでも「No.1」を最も強調しています。困難な課題を一つひとつ地道に解決し、誰もが思い描く理想にもっとも早くたどり着く。私たちが考えるイノベーションを創造する挑戦権は、ビジネス領域のなかでNo.1の実力を持つ会社にしか与えられないものです。だからこそ、「5DNA」は「No.1」からはじまり、そして、創業から27年間、参入した領域では、必ずNo.1になることを徹底してきました。

「No.1」をはじめとした「5DNA」は、社内の共通言語として日常的に飛び交っており、人材採用においても重要な指針となっています。イノベーションを成し遂げるためには多彩な才能が必要であることから、シンプレクスグループでは社員の多様性を尊重しています。一方で、付加価値を生み出し続けるためには、全社員で共有すべき強力なカルチャーも必要です。その核となるのが「5DNA」なのです。

また、社員の多様性という点でいえば、2021年にクロスピアを創設したことを契機に、近年では新卒採用に加えて中途採用も強化しています。新卒・中途問わず、人材市場トップ10%の優秀な人材を採用し育成する方針は今も変わりません。人材こそが、シンプレクスグループの全戦略を支える礎であり、持続的な成長と高い収益性の実現を支えてくれます。異なる才能を持った優秀なプロフェッショナルが、シンプレクスグループで自己実現を果たす。そんな人生のストーリーに関われる企業であり続けたいと考えています。

長期成長戦略としての「Vision1000」

日本におけるDXの潮流

日本企業のDXは、欧米の後塵を拝している状況です。こうした状況を招いた背景の一つと考えているのが、1980年代に世界一と言われていた銀行間送金システムである「第三次オンラインシステム」です。バブル期以前において「第三次オンラインシステム」とえいば、テクノロジーで世界を牽引する日本の象徴的存在でした。しかし、便利すぎるが故にDXによる変革を必要とせず、これが結果として欧米に後れをとる原因となったのです。

このことを反対側から見れば、日本にはまだまだ底堅いDX需要があるということになります。その需要を掴むことで、持続的な成長と高い収益性が見込めると信じています。ただし、DXに関して、多くの日本企業は重要な課題も抱えています。それは、システム内製化の限界です。

日本企業のシステム内製化の意欲は高まっていますが、非テック系企業では高いハードルが存在しています。代表的なのは、IT人材の不足です。特にマネジメント層では、ITの進化に伴って、自社のビジネスモデルをどう変化させるべきかを判断できる人材が求められていますが、そうした人材の育成は、長い年月が必要となります。

また、システムの内製化を阻害する構造的な課題もあります。特に非テック系企業においては、優秀な人材が本業に配属されることが多く、システム部門に配属されることが少ない傾向にあります。加えて、大企業になればなるほど、簡単には紐解くことができない重厚長大なレガシーシステムという課題も存在します。こうした複合的な要因から、システムの内製化は、多くの日本企業にとって挑戦的な課題となっています。

シンプレクスグループが目指す姿

こうしたDXの潮流のなか、私たちが一定の社会的インパクトを持つために、まずは売上収益1,000億円を目指すことが重要であると考えています。こうした考えのもと、持続的な企業価値向上を図るための長期成長戦略として、シンプレクスグループが目指す姿を定めた「Vision1000」を策定しました。

Vision1000で目指す姿は3つあります。まず1つ目は、顧客企業にとって唯一無二の戦略的パートナーになることです。日本における口座数・シェア業界トップのオンライン総合証券であるSBI証券が、私たちを唯一無二の戦略的パートナーとして認めてくれたように、各業界をリードする企業からも同様に指名される存在を目指します。2つ目は、社員にとってシンプレクスグループがBiz×Techの圧倒的イノベーターであり続けることです。DX分野のイノベーションは、時代の最先端を行くものです。今、その挑戦のエキサイティングな魅力が多くの優秀な人材を惹きつけています。シンプレクスグループは、これからも優秀な人材を魅了し続けるために、Biz×Techの圧倒的イノベーターであることを志向し続けます。3つ目は、社会にとってDX時代のゲームチェンジャーになることです。DXに課題を抱える日本企業が増えるなか、システムの内製化は唯一の正解ではないという見解のもと、私たちがゲームチェンジャーとなって社会にインパクトを与えられる存在を目指します。

中期経営計画「中計2030 -Vision1000-」にかける思い

シンプレクスグループは、「Vision1000」の中間地点として、2025年3月期から2027年3月期までの3カ年を対象期間とする中期経営計画「中計2027」に基づき、グループシナジーの発揮に取り組むことにより、着実に事業基盤の拡大を進めてまいりました。足元では、DX に関する需要が引き続き高水準で推移しており、これを着実に取り込みながら、AI活用を通じて提供価値と競争力の向上を図ることが重要であると認識しております。

こうした取り組みの進捗及び足元の事業環境を踏まえ、当社は、「Vision1000」で掲げる売上収益1,000億円の実現時期を2030年3月期に明確化いたしました。これに伴い、その達成に向けた成長戦略及び数値目標を定めるものとして、「中計2027」を発展的に見直し、2027年3月期から2030年3月期までの4カ年を対象期間とする中期経営計画「中計2030 -Vision1000-」を策定いたしました。

「中計2030 -Vision1000-」の達成は、単なる業績拡大にとどまらず、日本発のイノベーションを世界へ向けて発信する担い手としての真価が問われる挑戦でもあります。社会と顧客企業に対して真摯に価値を届け、社員とともに持続的な成長を目指す。この姿勢を貫くことで、私たちは次の成長ステージへと進んでまいります。

金子 英樹
代表取締役社長CEO

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