人権の尊重
すべての人々が幸福を追求する権利である人権を最大限尊重して事業を行うことは、シンプレクスグループの社会的責務であると考えます。この理念を個々の事業において実効性をもって推進するために人権基本方針を制定し、人権に配慮した事業展開を推進しています。人権基本方針は、役員および従業員にを周知・教育するとともに、ホームページに掲載することで広く公に人権尊重の取り組みを公表しています。
人材戦略
シンプレクスグループは、人的資本をもっとも重要な経営資源と位置づけ、人材市場トップ10%の優秀な人材の採用と育成に努めています。ビジネスとテクノロジーに精通したハイブリッド人材たちが、「5DNA」と「Simplex Philosophy」を共有しながら、ワンチームとなってイノベーションを追求しています。
人材の採用
01
新卒採用
2002年の上場以来、シンプレクスグループは新卒採用に注力してきました。その最大の特徴は、ポテンシャル採用にあります。創業メンバーがキャリアのなかで後天的にテクノロジーを獲得してきた経験に基づき、選考時点のIT知識は一切問わず、地頭の良さとモチベーションの高さを重視するという採用方針です。理系・文系を問わず、幅広いバックグラウンドの学生を対象とするこのスタンスは、理系出身が前提となりがちなIT業界のなかでも異彩を放っています。
シンプレクスグループが新卒採用に注力してきた背景にあったのが、IT業界における優秀な人材の不足です。「多重下請け構造」に起因する待遇面や労働環境の厳しさゆえに、優秀な人材がIT業界を志望しにくい状況が続いていたのです。こうした構造的な課題を抱えていたIT業界において、社会経験のない学生のなかからポテンシャルの高い人材を見極め、短期間で急成長させる仕組みを私たちは磨き上げてきました。この仕組みこそが、シンプレクスグループを支える基盤であり、これからの成長を牽引する原動力となっています。
IT業界に身を置きながらも、採用における競合相手を外資系コンサルファームと位置付けてきた点も特筆すべきポイントです。私たちは、人材市場でトップ10%に入るようなポテンシャルの高い優秀な学生の獲得を目指し、カルチャーの醸成だけでなく、報酬体系の整備にも注力してきました。標準的な成長スピードであれば外資系コンサルファームと同水準、トップスピードで成長する優秀層であれば、外資系コンサルファーム以上のアップサイドを取れる報酬体系は、採用活動において大きなアドバンテージとなっています。
02
中途採用
長らく新卒採用に軸足を置いてきた私たちが、戦略的な中途採用を強化するきっかけとなったのが、2021年のクロスピアの創設です。シンプレクスからのグループ内出向とともに力を注いだのが、テクノロジー知見に基づく実践的なDX支援を志向するコンサルタントの中途採用でした。
外資系コンサルファームで研鑽を積んできた当社経営陣のリーダーシップによって醸成されてきたカルチャーや報酬体系も相まって、クロスピア創設以来、即戦力となる経験豊富なコンサルタントの採用は順調に進捗しています。さらに、こうした中途採用の動きは、クロスピアに限らずテックファームであるシンプレクスにも広がりを見せています。従来は年間30名程度で推移していた中途採用者数が、クロスピア創設以降は、グループ全体で年間100名を超える水準にまで増加しています。
シンプレクスにおける中途採用の強化の背景には、FinTechベンチャーの台頭等により、IT業界に対する注目度が年々増している事実があります。従来であればIT業界に見向きもしなかった高いポテンシャルを有した優秀な人材が、IT業界を志向するという機運が生まれています。こうした外部変化は、新卒採用のみならず中途採用の強化においても追い風となっています。
人材の育成
01
内定者研修
新卒採用内定者については、すべてのビジネスにおいて、持続的成長の実現のために最も重要なキーファクターのひとつとして位置付けられている「テクノロジーの基礎」および「金融の基礎」について学ぶ内定者研修を実施しており、未経験からでも学習を重ねることで、研修終了時にはこれらの基礎を身につけることを主眼としています。
02
新入社員研修
新卒採用者については、入社後は4月から7月までの4か月間に渡り、新入社員研修を実施しており、さまざまな専門性をもった一流のビジネスパーソンによって編成されるプロジェクトチームの一員として参画するための最終準備として、「テクノロジー×ビジネス」の基礎スキル/基本動作の習得を目指しています。この新人研修の段階において、すべての新入社員は、原則として基本情報技術者試験、外務員資格試験等の各種試験に合格しなければならないこととしています。これらの研修に関しては、部門横断組織であるコンピテンシーチームが企画、立案しています。
03
ユニットリーダー制度
新卒採用者が現場に配属される初年度は、ユニットリーダーと呼ばれる先輩社員と新入社員2名が3人1組でユニットを組み、先輩社員の伴走のもとで、早期段階での「テクノロジー×ビジネス」の高付加価値人材として成長していく第一歩を踏み出すこととしています。新卒社員の直属の先輩となるユニットリーダーは、毎年、経営陣が自ら選出しており、優秀な先輩の仕事ぶりを間近で学ぶことで、より飛躍的な成長の実現を企図しています。
04
プロジェクトOJT
元請けから下請けに作業を段階的に委託する「多重下請け構造」を主流とする国内IT業界の慣習に対し、シンプレクスグループは、顧客企業と直接取引を行うプライム受注の徹底と、下請けに開発を丸投げしない体制を維持しています。顧客企業のマネジメントやユーザーと直接対峙し、膝を突き合わせて課題解決に向けたディスカッションが日常的に行える環境は、問題の本質を理解するうえでとても重要です。顧客企業のビジネスの成功を左右するプロジェクトに当事者意識をもって取り組むことができるこうした環境が、社員の育成に大きく貢献しています。
05
コンピテンシーチーム
「コンピテンシーチーム」とは、シンプレクスグループの強みの源泉となっているコンピテンシーを脈々と引き継ぎ、洗練させ、組織力を強化していくことを目的として設立された、専門領域に特化した社内育成組織です。現在は、プロジェクトマネジメント、システムデベロップメント、UI/UX、インフラ/クラウドDX、数理工学、Generative AIの合計6つのチームが組成されています。各チームとも、プロジェクトOJT以外での人材育成や、研修体系の整備にとどまらず、各専門領域の有識者としてさまざまなプロジェクトに組織横断的に関与するとともに、トレンドや先端技術の研究にも従事しています。
それぞれのチームには、マネジメントや特定の技術を極めた社員を「コンピテンシーリード」として任命したうえで、高い専門性を持った社員がメンバーとして参加しています。さらに、各チームが設ける参加要件を満たせば、プロジェクトOJTを通じて一定の経験を積んだ中堅社員も、メンバーとして参加できる機会が提供されています。さまざまなメンバーが、さながら徒弟制のような関係性で強みを磨き上げていく「コンピテンシーチーム」は、専門スキルだけでなく、リーダーシップや仕事への姿勢等、社員にとって多様なスキルを身につける成長機会になっています。
06
キャリア形成支援
各ビジネス領域での技術的な挑戦や取り組みを通じて得た知見や成功事例を紹介する社内カンファレンス「Simplex Tech Day」に加えて、ビジネス推進に関するコンサルティングやプロジェクトマネジメント等の挑戦や成功事例を紹介する社内カンファレンス「Simplex Biz Day」を企画・実施しており、社員は自らの意思で興味のあるセッションに参加し、自らの能力の向上に役立てています。
また、社員の自己研鑽を支援するため、業務に関連する資格取得費用および書籍購入費用の補助や、ビジネス推進に必要とされるトレーニング教材を揃えたラーニングポータルサイト「Boost」の整備、Eラーニングツール「Udemy business」の導入、大学院への進学および留学等を理由とする休職を可能とする制度が定着しています。
さらに、グループ内における創造的なコラボレーションや社員のキャリア形成を企図して、これまでのキャリアで得た経験と学びを中堅社員が若手社員に共有するイベント「キャリア共有会」を開催するほか、社内の相互理解と異動検討を目的とした「社内短期留学制度」の運用を行っています。
評価制度・企業風土
01
フェアで透明性の高い評価制度
社員の評価は、年に1回行われる「札入れ(フダイレ)」と呼ばれる評価会議を通じて実施されます。この評価会議では、当該年度の仕事で関わった現場の上位者全員が評価を行うため、特定の上司の主観に偏ることなく、成果に対する正当な評価が行われます。
「札入れ」では、プロジェクトの難易度や過去の経験値を含めて、その人の持つ再現性ある実力を評価して翌年度の理論年俸を決定しています。日本企業で散見されるような在籍年数に応じて給与が上がる仕組みは存在せず、年次や働いた時間、性別や国籍に関わらず、仕事の成果に対して正当な評価をする「Pay for Value」という文化が根付いています。
また、新入社員研修でCEOが最初に掛ける言葉は、競争と協調です。成長に欠かすことのできない競争を奨励する一方で、プロジェクトを成功させるためのチームワークも重視しています。さらに、実力主義ではありますが、単年度の実績が芳しくなかったことを理由に成長の機会が提供されなくなるという考え方は持ち合わせていません。「Up or Out」ではなく「Up or Stay」を重視し、「5DNA」に共感してコミットしてくれる限りはチャンスを与え、評価し続ける文化です。
02
個の力を最大限に活かす企業風土
シンプレクスグループでは、キャリアパスの多様性を後押しし、個の力を最大限に活かす企業風土の醸成にも注力しています。この思想の根底には「Mutual Respect」という価値観が存在します。チームとして最高の成果を出すためには、さまざまな分野において優れた才能の結集が求められます。「Mutual Respect」は、謙虚な姿勢で他者の持つ才能を認め、互いに学び、尊重し合う姿勢を指します。こうした価値観に基づき、シンプレクスグループでは個々のポテンシャルを最大限に伸ばし、それぞれに尖った個性を大切にする企業風土を育んでいます。
また、入社時の選考段階より、行動規範である「5DNA」に共感できるかを見極めることを重視しています。付加価値を創出するプロフェッショナル集団であり続けるために「5DNA」を全社員でシェアすることにより、個の力を最大化させ、シンプレクスグループの強さへとつなげています。
さらに、それぞれに尖った個性を最大限に活かすために、タイトルとロールを明確にすみ分けることも重視しています。タイトルとは職位、ロールとは役割を指し、評価においても「マネジメント職」と「スペシャリスト職」の双方を優劣なく尊重しています。事実、部下を一人も持つことなく、最上位タイトルまで昇りつめた社員もいます。
ダイバーシティ&インクルージョン
シンプレクスグループは創業以来、会社がチャレンジする領域への興味と意欲、そして自己実現を望む人を全力で応援しており、そこにはいかなる差別もありません。多様な人材が在籍し、各々が当事者意識をもちそれぞれの能力を発揮できる、「働きがい」のある企業風土の醸成を心掛けています。
主な取り組み
- 新卒中途採用とも、性別、年齢、国籍等は一切不問
- 多様な国籍の社員が多数在籍
- 新卒採用および在籍従業員の女性比率の向上
- 退職率が国籍や性別により偏りがないことを常時チェック
- 多様性活躍拡大に着目した「エンゲージメント・サーベイ」の実施
主な実績については、サステナビリティデータ集のほか、厚生労働省の女性活躍推進企業データベースにおいて開示しています。
一般事業主行動計画
シンプレクスグループにおける次世代育成支援対策推進法および女性の職業生活における活躍の推進に関する法律に基づく一般事業主行動計画は以下のとおりです。
2016年3月1日策定 (2016年4月1日公表)
2021年4月1日策定 (2021年6月1日公表)
2023年3月31日改定*(2023年5月10日公表)
計画期間の変更及び計画内容の変更につき前計画を終了
社外評価
グループ中核企業であるシンプレクス株式会社は、「子育てサポート企業」として厚生労働大臣より「くるみん認定」を、Xspear Consulting株式会社は、「女性の活躍促進に関する取り組み状況が優良である」として厚生労働大臣より「えるぼし認定 2段階目」を取得しています。


労働安全衛生・健康経営
会社が持続的に成長するためには、働く人が常に高いポテンシャルを発揮できる状況であること、すなわち心身ともに健康であることが重要です。「健康経営」とは、経営的な観点から働く人の健康管理を考え、生産性向上を目指して実践していくことを意味します。シンプレクスグループでは、代表取締役社長による「健康経営宣言」のもと、健康経営に積極的に取り組み、働く人全員が健康で生き生きとやりがいをもって仕事と向き合える環境の整備に努めています。
健康経営宣言
シンプレクスグループは、働く人の健康増進を重視し、
健康管理を経営課題として捉え、
その実践を図ることで、働く人やその家族の心身の健康の維持・増進と
会社の生産性向上を目指して「健康経営宣言」をします。
代表取締役社長 金子 英樹
健康経営推進体制
代表取締役社長が議長を務める「サステナビリティ会議」は、その諮問機関として「健康経営委員会」を設置し委員長を指名しています。健康経営委員長は併せて「衛生委員会」を統括し、産業医や従業員代表の参画を求めて、整合性のとれた運営体制により、働く人やその家族の心身の健康の維持・増進と、その結果としての生産性向上に資する施策を、企画・実行しています。
シンプレクスグループでは、健康経営に関する統合した情報を、社内外に向けてコーポレートサイトに掲載して周知するとともに、組織から独立した総合相談窓口を健康経営委員長の下に設置して、相談に対応し実効性の確保を図っています。

安全衛生
働く人の心身のコンディションを最高の状態にすることが、常に高いポテンシャルを発揮する基礎となると考えています。また、社会保険等の完備だけでなく、所得補償保険や生命保険など万が一への備えも行っており、安心して働ける環境づくりに積極的に取り組んでいます。
- 定期健康診断:昨年度受診率100%、再検査費用もフォロー
- ストレスチェック(年2回):メンタルヘルスケアの実施
- 産業医(精神科・内科)、公認心理師の配置
- 衛生委員会を産業医を交えて毎月開催
- 入院/療養等に利用できる特別有給休暇制度
- 所得補償保険、生命保険への加入
- 各拠点にリラクゼーションルーム(マッサージ)、カフェテリアを設置
- 衛生管理者による職場巡視、AED設置、各拠点で定期防災訓練
- ハラスメント相談・通報窓口を設置
- 心身の健康管理/ハラスメントに着目した「エンゲージメント・サーベイ」の実施
育児・介護
働く人が出産や育児・介護をしながら生き生きと仕事を続けられるよう、さまざまな制度を導入しています。子どもの看護休暇や育児勤務期間における年齢範囲の拡大など、法定の枠を超えた制度を充実させています。
- 妊娠中の特別有給休暇制度
- 産前産後休暇:産前6週間[双子以上14週間]、産後8週間
- 配偶者の出産に伴う特別休暇、パパ育休制度を整備
- 育児休業:子どもが1歳6ヵ月(最長2歳4ヵ月)に達するまで延長可能
- 育児時短/時差勤務:子どもが小学校2年生になるまで
- 深夜勤務回避申請:子どもが小学校6年生になるまで
- 子どもの看護休暇:年5日[2人以上10日]。特別有給休暇制度、テレワーク特例あり
- ベビーシッター割引券の配布
- 介護休暇:年5日[2人以上10日]。特別有給休暇制度、テレワーク特例あり
- 介護時差勤務:3年間
- 介護休業:93日間
働きがいを実感できる職場づくり
仕事の充実と安定した生活を大切にすることは、働く人に対する会社の責任だと考えています。「自己実現」を応援できる会社として、法令遵守のもと可能な限り柔軟性を持ち、目標にチャレンジできる「働きがいのある」職場環境づくりに、継続的に取り組んでいます。
- 出社/リモート/モバイルでの執務環境の整備
- 柔軟かつ効率的な勤務体系:フレックスタイム制、裁量労働制
- 勤務間インターバル制度:退社から12時間後までは出社しない
- 情報発信の充実による社内コミュニケーションの活性化
- 全社会議の実施、社内ポータルサイト「Simplex Bridge/Navigator」の運営
- 経営理念「Hello world, Hello innovation」、行動規範「5DNA」の制定
- 共有する価値観「Simplex Philosophy」を提示
- 働きがいに着目した「エンゲージメント・サーベイ」を3か月毎に継続して実施
総合相談窓口の設置
組織から独立した総合相談窓口を健康経営委員長の下に設置して、相談に対応して実効性の確保を図るとともに、働く人の意見を汲み上げていきます。
- 具体的な相談先や相談の仕方をガイダンス
- 制度利用者や予定者からの意見の汲み上げ
- 制度の柔軟性と守るべきルールのガイド
- 働き方や制度を働きがいへと繋げる方策の汲み上げ
- 窓口は組織から独立した健康経営委員長の下に設置:所属は内部監査室
課題と方針
働く人それぞれにとって「健康」は、画一的なものではありません。また、本人ひとりだけで支えられるものでもありません。そのために会社は、働く人各人の多様性を尊重しながら、信頼関係の醸成を一層深めていく必要があります。さらに、働く人を支えるための周囲との連携が重要になってきます。このような認識の下、次のような施策に継続的に取り組んでいます。
- 会社と働く人とのコミュニケーション手段の充実
- 健康と生産性との関連データの収集・分析・統合
- 従業員代表者や産業医等との一層の連携
- 健康保険組合等との連携
- 家族との連携:Family Dayの開催
- 社会との連携:社外取締役との協議
社会貢献
変化するビジネス環境のなか、ビジネスをテクノロジーでリードするシンプレクスグループが持続的な成長を続けるためには、その源泉となる社会全体の未来を見据えて取り組むべき課題の解決に貢献する必要があると考えています。このような考えのもと、シンプレクスグループは、イノベーションを持続的に創出し、自身の競争力を高めることで責務を果たすとともに、主体的に社会に対して還元を図っています。
教育活動への貢献
シンプレクスグループが培ってきた金融システム開発に関する知見や、顧客企業におけるDXコンサルティングに関する知見をもって、関連する学術分野の発展に寄与することを企図し、株式会社シンプレクス・インスティテュートとともに金融戦略・経営財務プログラム修士課程(MBA)を設置している国立大学法人一橋大学に対する寄附および寄附講義(情報化戦略とその実践、リスク管理と金融教育)に加えて、国立大学法人京都大学に対する寄付を行っています。
スポーツを通じた社会貢献
シンプレクスグループでは、スポーツを通じた社会貢献活動の一環として、障がい者アスリート社員における各種競技会への参加支援のほか、マイナースポーツに取り組む団体や社員への応援などを実施しています。オフィスで働く社員もアスリート社員も、「5DNA」と「Simplex Philosophy」という共通の理念を胸に、それぞれの特性を生かし各方面で活躍しています。
2024年3月期実績
- 障がい者アスリート社員12名(馬術、卓球、柔道、陸上、バスケットボールなど)
- 日本パデル協会とのパートナーシップの締結